いじめっ子に応戦する

 娘が小学校に入学した頃、いじめが巷で問題となっていたと思う。私は日頃、いわれのない意地悪や嫌がらせを受けたときは、そのまま引きさがらず、その子と対峙するよう言い聞かせていた。

 入学間もない頃のこと。娘が踏み切り待ちしていたとき、後ろから押され転ぶ事件があった。舗道のレンガの隙間につまづいて転ぶのであるから、押されればひとたまりもない。当然とどまることなど不可能である。大事に至らなかったのが幸いであるが、今思い返しても鳥肌が立つぐらいゾッとする。
 勿論、学校に報告し、注意してもらった。

 その後のことである。ある雨の日、今度は傘でたたかれたのである。この時、娘はけなげにも自分の傘で応戦した。町内会で入学祝としていただいた黄色の傘は骨が折れ、二度と使い物にならなかった。娘の必死の勇気に乾杯だ。よくやったと娘をほめてやった。
(2006.2.19)
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