手は悪くないんでしょう

 子供達が入学の時や、クラス替えで担任が代わる度に、私は先生に病症の説明をした。特別な運動制限の無い事。予防接種等も問題無い事。そして何より、体育の授業には無理が無い範囲で、積極的に参加させて欲しい旨、伝えていた。

 以下は成長した娘から聞いた事だが、小学校中学年の時、「うんてい」の授業があった時のこと。ぶら下がったのはよいが、前にも後ろにも行くことが出来ず、その場に宙吊りになった。勿論その状態も長く続くはずがなく、落下の憂き目に会ったのは言うまでもない。その時に先生がこうおっしゃったそうだ。
「足が悪いのはわかるが、手は悪くないんでしょう。ちゃんとやりなさい。」
と。
 この話を聞いたとき、私は娘に対し、非常に申し訳ないことをしたと自己嫌悪した。何故なら、病状説明をきちんとしていなかった為、先生に誤解を与える結果を作ってしまったからだ。
 「筋肉の病気の為、走ったり、ジャンプしたり出来ません。運動能力が他のお子さんと比べ、非常に劣っています。」この様にお話ししていたと思う。筋肉は足に限らず体全体にあるということを、故に、手も指も首も普通と違うということをもっときちんと説明すべきだったのである。ごめんね!!

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