怪我1〜左肘脱臼〜

 ミオパチーはもともと筋力が弱い病気ですが、病気や怪我をしたりして長期間体を動かせないようなことがあると、さらに筋力が低下して元のレベルまで戻らなくなってしまうことも少なくありません。だから、大きな怪我だけはしないようにと度々医者に言われてきました。
 とは言え、気を付けてはいてもしてしまうのが怪我。よく転ぶので、擦り傷、打ち身、捻挫はしょっちゅうですが、これまでに3度、大きな怪我をしています。

 私にとって初めての大怪我は3歳になったばかりの時で、左肘の脱臼でした。原因は母と私の連携プレー(?)。当時はまだミオパチーであることはわからず、明らかに普通の子とは違うけれど、どこが悪いのか分からないという状況だったので、母も何に気を遣えばいいのかわからなかったのです。
 私の記憶だけでは状況が曖昧なので、当時の母の育児日記を拝借してしまいましょう!

>12/27(土)
今日は事件(?)がおこってしまいました。
と言うのは、ゆうちゃんの左ひじがはずれてしまったのです。
午前中、K駅の近くの三菱銀行での事。
年末とあって、人で込み合う中、カウンターの前の方で座りこんでしまったのです。
危ないので、立つように声を掛けたのですが、立ち上がろうとしないので、腕を持って引っ張ったところ、


普通なら腕を引っ張られれば自然と立ち上がるのかもしれません。しかしそこはミオパチー。人形と同じで自分ではすぐには立ち上がれませんし、そもそも私に立つ意思がなかったようですから、引っ張られるがままになってしまったのです。それで…

>"ゴリ"と音がしたのでハッとしたのですが、後の祭り!!痛いと云ってうでを上げないので、すぐに外科に行ったところ、やはり"ひじ"がはずれていました。

引っ張られた瞬間と、自転車に乗せられて病院まで行く途中の景色が流れる様子はよく覚えていますが、痛みの記憶はありません。母は通帳などを全て窓口に預けたままだったそうです。

>元に戻し、湿布して、うでを吊って帰って来ました。くせになりやすいので、注意するようにと言われました。

母の記録ではあっさりと書かれていますが、この部分こそ私の記憶に強烈に残っている部分です。外れた肘を元に戻すため、歯車(のようなもの)の間に肘を無理矢理入れられたのです。その時のなんと痛かったことか!一瞬でしたが、恐怖でした。

>折角お休みに入ったと言うのに、当分は家の中で、静かにしなくてはなりません。

 この後から母は私の手を引くことに慎重になり、例えば仰向けの状態から「起こして」と私の方から手を出しても、「恐いから嫌」と断りがちになりました。
 ミオパチーの子の手を引っ張って立たせようとしても、普通の子のように体はついていきません。下手をすると私のように肘を脱臼してしまうかもしれませんので、親御さんはご注意あれ!

 最後に日記よりその後の経過を抜粋。

12/28(日)
左のうでがまだ痛いと云って、自分で、とても神経を使うので、かわいそうでした。
服の脱着の時も、「こっちはそっとネ。」と云って静かに行っていました。
「御免ね。お母さんが引っ張ったから、抜けちゃったのヨネ。でもゆうちゃんも云う事を聞かなかったから半分悪いのヨネ。」と云うと、神妙な顔をして「ウン!」とうなづいていました。

12/29(月)
午前中医者に行って診てもらいました。
まだ痛がっていると云うと、ネンザみたいなものだから、まだしばらくは痛いだろうとの事。そしてもう当分の間、左うでは動かさない様にとの指示でした。
夜、入浴の時、真面目そうな顔付きで、「左の手は洗わないでネ。」と心配していました。

12/31(水)
左ひじの件、湿布は取っても包帯は取らない方が良いとの指示。
心配でつい「もう大丈夫?痛くない?」と何回も聞くもので、「大丈夫ヨ。ホラ見て!!」と云って左手を動かして見せてくれました。
その後、度々「ホラ見て、動かせるヨ。」と云っては見せてくれました。
子供心にも親が心配しているのがわかるんだなぁ〜と思うと、胸にジンと来ました。

1/10(土)
左ひじがまだ痛いと云うので、病院に自転車で行く途中、車輪を取られて転んでしまい、おゆうも頭を歩道にぶつけてしまいました。
念の為、レントゲンをとって診てもらいましたが、骨に異状無しと云われホッと致しました。
薬をもらい、今日は運動しないで、静かにしているようにとの指示。
その後、本人も痛いとは云わず、別段変ったところがみられないので、一応安心!!

 これより先、左肘についての記述はありません。いつ完治したのでしょう?
(2006.8.4)

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