手摺りについての考察

 普段手摺りを必要としない人にとって、手摺りの有り様など気にしたことがないかもしれませんが、階段を登るのにどうしても手摺りが必要な私は、手摺りについてよく考えます。

 私にとって手摺りが必要な理由は主に2つあります。
理由1:
 脚の力だけでは体を引き上げるのが大変なので、手摺りを使うことによって手の力も利用したい。
理由2:
 片足を掛けた後、もう一方の足を掛けるまでの片足でいる時間が長いため、手摺りに手を添えることでバランスを保ちたい。

 理想的な手摺りを考えるとき、問題は大きく分けて3つあると思います。

問題点1:手摺り自体の形状
 まず、太さ。以前利用していた駅の階段の手摺りは直径が10cm程あって、手の小さい私にとってはとても掴みづらく、力も入りづらいものでした。手の大きさにあう適度な太さというのがあるはずです。
 次に高さ。「体を引き上げる」からには、ある程度の高さが必要です。脇を締めた状態で、手を45度ぐらい前方に上げたところに手摺りがあるのが私にはベストです。
 太さは手の大きさによって、高さは身長によって、それぞれ、丁度よい太さや高さというのは異なるので、ある人にとって使いやすい手摺りが誰にとっても使いやすいとは限りません。しかし、最近では2段構えで設置されていたり、低い方の手摺りは少し細くしてあったりと、随分配慮された手摺りも見掛けます。私は大人としては背が低いので、その真ん中辺りが丁度良かったりもするのですが…。
 そして、手摺り自体の最大の問題は、途中で途切れているものがあることです。
 駅の階段の真ん中にある手摺り(これは人の流れを分ける意味もあるでしょうが)や、学校・マンション等の建物内の壁を切って手摺りにしたようなものがそうです。途中手摺りがなくても大丈夫なぐらいなら、最初から手摺りは必要ありません。
 また、体の前方に手摺りがあって欲しいわけですから、階段と共に手摺りがなくなってしまうのも困ります。もう2、3段あるつもりで、手摺りを延長してほしいものです。それもよくあるような地面に平行なものではなく、そのままの角度で延長してあると助かります。

問題点2:手摺りの設置環境
 屋外の階段は、厄介なものです。
 天気が雨だと切実な問題なのです。傘を差しているので、手摺りへの依存度も高くなります。ところが、手摺りはずぶ濡れ。それでも掴まなければならないので、手はびしょびしょになります。夏はまだよいのですが、冬は悲惨です。手袋をはずして濡れた金属性の手摺りを掴み続けたときの冷たさは、想像していただけると思います。
 できれば歩道橋にも屋根をつけてもらいたいところですが、駅の場合は途中まで屋根があることも多く、何故最後まで屋根をつけてくれなかったのかと、恨まずにはいられません。
 さらに、管理が行き届かないような手摺りでは埃だらけだったり、ガムがついていたりすることもよくあります。手摺りが汚いというのも利用者には不愉快なものです。

問題点3:手摺りが人でふさがっている
 どんなに理想的な手摺りがあっても、使えないのでは意味がありません。
 手摺りがある場所は当然壁際であることが多く、駅ではここに人が張り付いている場面によく遭遇します。ずらっと並ばれると、もう諦めて手摺りなしで階段をふらふら登るか、別のすいている手摺りを探すしかありません。またはかなり強気な態度で強引に手摺りを奪いながら進むか。本人達は邪魔にならないように壁際に寄っているつもりなのでしょうけれど、はっきり言って一番邪魔です!
 私がやっと登っているのに気付けば大抵の人はどいてくれますが、最近はケータイに夢中で気付いてもらえないことも多いのです。

 結局、理想的な手摺りを追求するより、エスカレーターやエレベーターを完備した方が早いということかもしれませんね。
 ただ、手摺りは飾りではありません。必要な人がいるということを考えて、せっかく作るなら作る時にも、作ったならその後も、もう少し配慮があるといいのにと思います。
(2006.6.30)

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