難航する靴選び 〜靴ズレ編〜

 靴選びには小さいときから苦労しています。ミオパチーにとって理想的な靴は、ヒールが低く、足首までしっかり支えてくれる、バスケットシューズのような形のものです。それは足首が固くなる関節拘縮を抑えるのに効果的なようです。が、TPOを考えれば、いつもバッシュを履いているわけにはいきません。

 関節拘縮のために足が甲高であることはミオパチーの特徴の一つです。以前バレエをやっている知り合いに羨ましいと言われたことがありますが、なるほど、バレリーナが爪先立ちをした時は、甲が出ている方が美しいです。しかし何もしなくても甲高であることは、フィットする靴を少なくしています。私にとって靴選びとは、靴ズレとの闘いでもあるのです。

 幼い時から最も悩まされているのは、足首の後ろ側(腱があるところ)の靴ズレ。厚手の靴下をはいておけば免れることもありますが、パンプスに靴下という訳にもいかないので、そういう時はあらかじめ靴ズレ防止テープを貼っておきます。それでも効果がないことも少なくありません。靴自体は購入する前に試着して店内を歩き回り、慎重に選ぶのですが、実際に長く歩くとだめなのです。

 この靴ズレが原因で病院に通ったことがあります。中高6年間、通学には学校指定の革のローファーを履くことが義務付けられていました。問題は入学式当日から発生します。例のごとく、足首の後ろ側が靴ズレで血まみれ。予め貼っておいた絆創膏も役には立ちませんでした。しかし今後6年間、同じ靴(買い換えるにしても)を履くことを考えれば、我慢して足を慣れさせるしかありませんでした。足の皮が堅くなって靴ズレがようやくできなくなった中学2年生のとき、とうとうそれまでの無理が神経をたたります。もはや激痛で靴を履くことすらできなくなり、完治するまでに1ヶ月以上を要しました。
 さすがにこれ以上学校指定のローファーを履かせるわけにはいかないと思った母は、革が良ければ問題は起きないかもしれないと考え、高級ローファーを私に買い与えました。当時3万円以上したその靴は驚くほど快適で、スペアにもう一足買ってもらうことになりました。

 この部位の靴ズレとの格闘は、ローファー型(またはパンプス型)の靴、スニーカー、ブーツに至るまで、現在も常に繰り広げられている訳ですが、これと全く無縁なのがサンダルです。しかし、ビーチサンダルのように鼻緒のあるタイプは鼻緒ズレを起こすのでNG。また、ベルトによる甲の部分の靴ズレもあるので、やはりなかなか快適なサンダルには出会えません。

 もう一つはハイヒール。大学の入学式のとき、無理をしてハイヒールを履きました。ところが、かかとが高い分足の前方へ負担がかかりすぎました。普通なら問題ないのでしょうが、そこはミオパチー。歩くとき、階段を下りるとき、筋肉のクッションなしで、イメージとしてはドスンドスンと着地を繰り返すので、あっという間に足の裏が水ぶくれだらけになり、あえなく途中リタイヤになってしまったのです。
 その後、ファッション界では厚底ブームが到来します。やはりちょっと履いてみたくなるもので、私も一足買ってみました。靴ズレもなくいい感じです。しかしやはり転びました。しかも軽い捻挫付き。靴は知り合いにあげてしまいましたが、今思えば若気の至りです。反省。
 ハイヒールも厚底も今では全く履きませんが、あまり靴底が薄すぎるのも問題です。ハイヒールの時と同じで、着地のショックをもろに足の裏が受けてしまうので、たとえば駅にある盲目の方用の黄色いボコボコタイルの上に階段から降りてしまったときなどは、かなり痛いです。

 足の形、歩き方の他にも原因はあるのかもしれませんが、とにかく靴選びには苦労しています。(つづく
(2006.1.28)


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