時間的なバリアフリー

 交通機関が発達し世の中が便利になると、それと引き換えに失われていくものもあります。それは余裕。せっかく移動の時間が短縮されたのに、人は強制的に急がされることがあるのです。

 まず電車の発車ベル。私が普段利用している駅では、皆比較的きちんと並んで電車を待ち、降りる人を待ってから順に乗車しています。なのに、まだ降りている人がいるうちから発車ベルが鳴るのです。よもやこの状況でドアが閉まることはあるまいとわかっていても、このベルにより人々は内心焦ります。そしてそれは無意識に態度に表れます。後ろから人に押されると堪えられないかもしれない私は危機感を募らせます。
 緻密なダイヤに縛られているのはわかりますが、もう少し考えてもらえないものでしょうか。このベルのタイミング、納得いきません!

 次にバスの車内アナウンス。「お降りの際は、危険ですから車が止まってからお立ちください」と言う割に、この指示に従うとドアを閉められそうになったり、ひどい時はバスを発車されそうになったりします。
 もう少し車内の動きに気を遣ってもらえないのでしょうか。このアナウンスに矛盾する対応、納得いきません!!

 最後に信号の点滅。「青」の時に渡り始めたのに、向う側に着く前に「赤」になってしまうのって、おかしいと思うんです。横断に要する時間だけ点滅状態が続くのが理に適っていると思います。そうすれば、点滅中に渡り始めて途中で「赤」になることはあっても、「青」の時に渡り始める分には途中で「赤」になることはありません。
 先日も、「青」の時に渡り始めたのに途中で信号が点滅を始め、それでも走らない(走れない)私は交通整理のおじさんに「急いで!」と怒られてしまいました。
 この発言と信号の点滅時間、納得いきません!!!

 人はもう少し時間的にゆとりを持てば、心にももっとゆとりが生まれます。
 そして、急げる人の時間の流れと、急げない人の時間の流れは少し違うことも知っておいてもらいたいのです。段差をなくすのと同じように、時間差をなくしてもらうことも、バリアフリーのひとつだと思うのですが。
(2005.12.2)

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