2人の男に拷問される―恐怖の筋電図―
ミオパチーを疑われている患者が受ける検査のひとつに筋電図というのがあります。心電図が紙テープに折れ線で表示されるように、筋電図もモニターに折れ線で表示されていたように思います。まあ、筋の電図を見るのでしょう、詳しいことは知りませんが。 私も2週間の入院中に、この検査を受けました。
筋電図をとるために連れて行かれた検査室は、壁ぎわにベッド、その先にモニターと機械類といった配置で、機器のランプが光っているのでちょっと神秘的でした。今思うと、カラオケボックスの雰囲気に似ています。 ざっと見回したところ、注射器のようなものはなく、今日は痛くない検査だなと安心していました。中では2人の若い男の医師が準備を進めており、私にモニター側に足を向けて、ベッドに寝るようにと言いました。私が仰向けになると、壁の方を向いて横になってほしいというので、その通りにしました。 2人の医師が私の足元に腰を掛け、準備は整った模様です。
どんな開始の合図があったのか、又はなかったのか、全く憶えていませんが、それは突然始まりました。 チクッという鋭い痛み。 一方の先生が私の太ももに針を刺したのです。「痛い」と言って泣く私を無視して、2人はモニターをながめています。それで終わったのかと思ったら、さっきとは別の場所にまた針を刺し、またモニターをながめています。 泣きじゃくる私を尻目に、2人は針を刺すのを交替しながら、何度もそれを繰り返しました。
一旦小休止を入れたとき、一人の先生が私に聞きました。 「どっちの先生の方が痛い?」 私は片方の医師を指差し、堂々と「こっち!」と言ってやりました。2人は苦笑しながら、 「○○先生の方が痛いってさ」 「同じはずだよ〜」 というような会話を交わしていました。
検査が再開された時、当然痛くないほうの先生がやってくれるのだろうと思ったら、それまでと変わらず、2人は交替で私の太ももに針を刺しました。
「だったら聞くな!」と怒りに震えながら、私は最後まで泣きつづけました。
当時5歳の私の記憶では100ヶ所以上刺されたような気がするのですが、実際のところはわかりません。太ももが穴だらけになっているだろうと思ったら、なんともなっていないので不思議でした。 大きくなってから、本当は電波のようなものだったのかもしれないと思いましたが、最近調べてみたら、やはり針だったようです。
検査を終えた私は、病室へ続く階段の下まで一方の医師に送ってもらいました。先生が「ここからはもう一人で帰れるよね」と言ったので、私はこう答えました。 「足が痛くて歩けない。おんぶして!」 本当は痛みなどありませんでしたが、結局病室までおんぶで送ってもらいました。
しかし、本当の恐怖がまだ残されていたのです…。(つづく)
(2005.10.19)
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